感染症
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インフルエンザ
インフルエンザにはA型(2009パンデミックH1N1、A香港型)、B型、C型がありますがC型はあまり流行しません。A型、B型のどちらかが流行します。症状は多少の違いがありますがよく似ています。だれかが家庭に持ち込むと家中みんながかかることが多く、普段風邪をひかない大人でも高熱を出します。症状は普通の風邪に比べてひどくなります。
1.悪寒(さむけ)と高熱(3~7日)
2.全身倦怠感と食欲不振
3.頭痛、筋肉痛、関節痛、腰痛等を伴います。
4.腹痛を訴えたり、嘔吐・下痢等胃腸症状を伴うことがあります。
5.のどの痛みや咳・鼻水を伴います。
Point.1 早めに受診してください
無理は禁物です。医師の診察を受けてください。現在はなどの抗インフルエンザ薬があります。
Point.2 休んでください
無理に寝ておけとは申しませんが、家でのんびり、ごろりとして、疲れないように安静にしてください。
Point.3 保湿
厚着をさせたり、こたつにもぐり込ませたりする必要はありませんが、寒くない程度に、暑くない程度に、暖房を調節、保温加湿してください。
Point.4 食事
食欲はなくてあたりまえです。無理に与えずに、子どもの好きなもので、消化のよいものを与えてください。熱のないときに水分を十分に与えて、脱水にならないように心がけてください。
Point.5 入浴
「風邪にお風呂は禁止」という考えは忘れてください。疲れさせないように気をつけて、熱のないときにお風呂でさっぱりさせるのはかまいません。湯冷めをさせないでください。
下痢嘔吐症
冬になると、乳幼児は下痢嘔吐症(はきくだし)によくかかります。これは主にロタウィルス、ノロウィルスやアデノウィルスによって起こる感染症と言われる病気です。突然吐きはじめ、続いて水のような下痢(白色~レモン色)になります。熱が出ることもありますが、約1週間でよくなります。
夏になると細菌性食中毒が加わります。血便に注意してください。血便があれば小児科を受診してください。
下痢止めと吐き気止め、必要があれば抗生物質の薬を処方しますが、家庭での治療が大切です。吐き続けて脱水がひどくなると点滴が必要になることもあります。点滴には2~5時間かかります。
家庭における治療
Point.1 吐いたら絶食
吐き気が強いときは吐き気止めの坐薬を使用し、しばらく(1時間以上)絶食にしてください。
Point.2 はじめは水分から
吐き気が落ち着いてきたら、水分を少しずつ飲ませてください。スポーツドリンクやイオン飲料、薄いリンゴ果汁などがおすすめです。
Point.3 下痢だけになったら
便の様子を見ながら、消化のよい食べ物を与えてください。
Point.4 お風呂
嘔吐、下痢がひどいときは脱水症状になりやすいので、できるだけ控えてください。
・嘔吐の続くとき
上記の場合には診察を受けさせてください。
手足口病
手のひら・足の裏・口の中の粘膜に小さな水疱を作る病気です。エンテロウィルス71やコクサッキーウィルスA16等による感染症です。15種類以上のウィルスが原因になります。お尻や膝にできることもあります。近年流行した手足口病は、水痘と間違うような大きな水疱でした。6歳以下の子ども、とくに乳幼児に、6~7月に流行することが多いです。生後3か月以下の乳児の発病はまれですが、成人でも発病することがあります。何度もかかる病気です。熱が出ることはあまりありませんが、高熱のときは要注意です。
家庭で気をつけること
Point.1 食べ物
口の中が痛いときは、しみないものを与えましょう。熱いもの、硬いもの、塩味や酸味の強いものは控えます。
Point.2 入浴
熱がなく元気ならかまいません。
保育園・幼稚園・学校
ウィルスの排泄期間が長く(便の中には約1か月排泄されます)、実質的に登校(園)停止によって感染や流行を防止することは困難であり、また不顕性感染も多く、症状も軽い場合が多いです。そのために発疹期にある患児でも他児への感染のみを理由にして、登校(園)を停止する必要はありません。しかし、髄膜炎等の重症の合併症のおそれもあるため、個々の患児の最終判断は主治医が決定することになります。
ヘルパンギーナ
乳幼児の間で6~10月(7~8月が中心)に流行する夏かぜの1種です。エンテロウィルス71等による感染症です。約20種類のウィルスが原因とされています。突然の発熱で38~40度の高熱が2~7日続きます。ウィルスは便に約1か月排泄されます。
発熱の数時間前に興奮したり、ぼんやりしたり、食欲不振を訴えたりします。けいれんの誘発も多く、5歳以下の小児の25%に嘔吐がみられます。咽頭の奥に小さな水疱ができ、痛みがあるために食べたり、飲んだりできなくなることがあります。ひどいときには脱水症となり、点滴による水分補給が必要となることがあります。
家庭で気をつけること
Point.1 食べ物
口の中が痛いときはかまずに飲み込めるものを与えます。プリン、ゼリー、アイスクリーム、冷ましたおじや、豆腐などがよいと思われます。
Point.2 水分
十分に水分を与えるようにしてください。オレンジジュースなど酸っぱいものはしみて痛がります。牛乳や麦茶、味噌汁、ポタージュ、スープなどがよいでしょう。
Point.3 入浴
熱が下がり元気ならかまいません。
・口の痛みが強くて水分をとらないとき
・高い熱が3日以上続くとき
・元気がなく、ぐったりしているとき
・けいれんをおこしたとき
・上記の場合には診察を受けさせてください。
リンゴ病(伝染性紅斑、パルボウィルスB19感染症)
左右の頬がリンゴのように赤くなることからリンゴ病といわれますが、伝染性紅斑というのが正式の病名です。頬のほかに、上腕や大腿部の内側に網目状の赤い発疹があらわれます。夏に流行するかなり特徴的な疾患で、約200年前から知られています。
原因がパルボウィルスB19であることがわかったのは1983年頃でした。このウィルスに感染すると7~10日で風邪ひきの症状があらわれ、その後約10日で顔や腕や大腿部の内側に赤い発疹がみられます。かゆみはあまりありませんが水痘のように水をもってくることもあります。発疹の出るころにはもうウィルスは排泄されず、伝染することはありません。この病気で保育園、幼稚園や学校での出席停止は必要ありません。
この発疹はお風呂に入ったり、日焼けをするとまた赤くなってくることがありますが、問題はありません。気にしないでください。 この病気は子どもにはたいした問題は起こしませんが、妊婦さんが感染すると胎児に異常をきたすことがありますので、産婦人科の先生に相談してください。
おたふくかぜ(ムンプス)
おたふくかぜはムンプスウィルスによる感染症の1種です。飛沫感染で伝染します。家族内ではほとんど、学校では約80%が感染しますが、発病率は60~70%で、潜伏期は16~18日です。発病する6日前から発病後6日間ウィルスを排出するため、伝染する可能性があります。
耳の下の耳下腺が腫れて、痛みを訴えます。顎の下の顎下腺が腫れることがあります。たいていは左右ともに腫れますが、片方のこともあり、2~3日遅れて反対側も腫れることがあります。腫れは約1週間で治まります。発熱は3~4日で下がります。時に髄膜炎、脳炎、膵炎、睾丸炎などをおこすことがあります。安静にしたほうが髄膜炎発症の可能性が減るようです。できるだけ安静にさせてください。
予防はおたふくかぜワクチンで行います。MRワクチンと同時期に受けてください。ぜひ2回接種してください。同時接種または4週間空けてください。
成人男性がおたふくかぜにかかると男性不妊の原因になることがありますので、おたふくかぜに感染していない男性はぜひワクチンを受けてください。腫れがひくまでは人にうつりますので、約1週間は保育園、幼稚園、学校を休ませてください。とくに男児には1か月以上後に血液検査でぜひ抗体検査をして確認してください。
家庭で気をつけること
・頭痛が強く、何度も嘔吐するとき
・1週間以上腫れがひかないとき
・発熱が1週間以上続くとき
・耳の下の腫れが赤くなってきたとき
・睾丸を痛がったり、腫れてきたとき
・強い腹痛を訴えるとき
上記の場合には診察を受けさせてください。
水痘(みずぼうそう)
水痘は水痘帯状疱疹ウィルスによる感染症の1種です。空気、接触感染で伝染します。
初感染では水痘となり、全身にかゆみのある小水疱を250~500個作ります。その後つぶれて、かさぶたに変化していきます。妊婦がかかると新生児水痘をきたすことがあります。家族に一人患者が出るとほぼすべての家族に感染します。
家族内感染はより重症化することが多いです。このウィルスは神経の中に潜伏し、免疫が衰え、高齢者の場合は帯状疱疹という神経の水痘を発症します。
予防は水痘ワクチンで行います。1歳になったら麻疹・風疹MRワクチンとおたふくワクチンと同時に受けてください。追加接種は半年以上あけて受けてください。
帯状疱疹の予防にも使えるようです。高齢者の範囲に入れば水痘ワクチンが有効のようです。
治療は専用の抗ウィルス薬があります。感染症に詳しい医師に相談してください。
プール熱(咽頭結膜熱)
“乳幼児の間で7~8月に流行する夏かぜの1種です。病原体は約10種類のウィルスが原因と考えられています。発熱、眼球結膜充血、のどの痛みを訴えます。
家庭で気をつけること
Point.1 食べ物
のどが痛いときは噛まずに飲み込めるものを与えます。プリン、ゼリー、アイスクリーム、冷ましたおじや、豆腐などがよいと思われます。
Point.2 水分
十分に水分を与えるようにしてください。牛乳や麦茶、ポタージュ、スープなどがよいでしょう。
Point.3 入浴
高い熱があるときや元気がないとき以外は、我慢する必要はありません。熱のないときに湯冷めをしないように、水分の補給に注意して入浴させてください。
・口の痛みが強くて水分をとらないとき
・高い熱が3日以上続くとき
・元気がなく、ぐったりしているとき
・けいれんを起こしたとき
上記の場合には診察を受けさせてください。
保育所・幼稚園・学校
熱が下がれば登校(園)できますが、口の中の痛みがなくなるまで、4~5日休ませてください。
発病後6日間は伝染させる可能性があります。